11/15(火)放送のABCテレビ キャスト 中津特集の書き起こし

(司会)特集です。大阪市が進める大型開発の影で障害のある方やお年寄りにとってなくてはならない道路が奪われようとしています。現地でいったい何が起こっているのでしょうか。

(VTR開始)

(ナレーション)大阪市北区中津。特急はるかやくろしおが走るJRの線路。その高架下はこの地域に住む人にとってなくてはならない道です。しかし。

大阪市担当者)現在通行できるガード下の道路が2ヶ所閉鎖されることになります。

(ナレーション)再開発で奪われるかけがえのない生活道路。途方にくれる住民たちを取材しました。JR大阪駅北側の梅田貨物駅跡地。今はおよそ8ヘクタールの広大な空間が広がり大阪に残された最後の一等地と言われています。およそ5年後を目標に緑地公園や健康や医療分野の技術革新拠点などが作られるほか、地下にはJR東海道支線の新駅が建設される予定です。この新駅建設により中津にあるいくつかの歩道が閉鎖される計画になっています。中津に住む小川さん。長女のまさえさんは脳に重い障害があり、話すことや自力で動くことは出来ません。移動の際は常に車椅子に乗り人の介助を受けています。

(小川さん)3cmから5cmの段だったらちょっと上がらないんですよね。こうやって押して上がらないとだめなんです。

(ナレーション)わずか数センチの段差でも車椅子で通るには大変な労力がいるようです。

(記者)この道(高架下)はよく使うんですか?

(小川さん)はいよく使います。ここはかけがえのない生活道路です。

(ナレーション)通院や散歩、買い物などまさえさんとともに頻繁にこの道(高架下)を通ると言います。そんな小川さんが今一番心配しているのは5年後この歩道がなくなってしまうことです。歩道の上を走るJRの線路は大阪駅の北側に出来る地下の新駅につなげる為、今後なだらかに地中へと潜らせる工事が行われます。計画では現在歩道がある辺りはちょうど線路が地上から地下へ降りる区間に当たるため十分な高さを確保できず歩道は閉鎖せざるえなくなります。市は今年5月住民たちに初めてこの計画を伝えました。

(小川さん)この道がなくなるということはどれだけ迂回しないとならないか。不便でたまりませんね。困ります。

(ナレーション)住民からは一斉に不安の声があがりました。

大阪市担当者)反対のご意見と言いますか、通れなくなることについてどうしていくのかということをご意見をいただいておりまして、代替施設の整備を検討していく。

(ナレーション)市は歩道の代わりに新たに線路をまたぐスロープ式の歩道橋を作る案を示しています。しかし、線路の上に高さ2.5mから3.5mの歩道橋を作る場合安全に上り下りできる勾配を保つにはスロープの長さが片道60mから80m必要となります。わずか10mほどの今の歩道と比べ10倍以上の距離になるのです。中津には9つの障害者施設があります。なかでも閉鎖される歩道の目の前には身体障害のある子供たちの入所施設があり車椅子や歩行器を必要とする子供たちが日常的に歩道を使っています。またこの地区は65歳以上の割合がおよそ4人に1人と区内で2番目に高くお年寄りの姿も多く見受けられます。

(近隣住民A)困りますね。向こうのほう迂回しないといけないと言うからね。

(近隣住民B)腰とか足腰の悪い人が歩く場合、僕は体力的に相当負担がかかってくるのではないかと。

(近隣住民C)赤ちゃん連れて重い食材とか持って上り下りするのはかなりの重労働で、さらに傘とか差したら上れるかなと。

(ナレーション)長いスロープに不安の声を寄せる住民たち。いったいどれだけ大変なのか、市内の別のスロープ式歩道橋で記者が体験をしてみました。長さはおよそ53m。市の計画と同じくらいの勾配です。(中之島3丁目歩道橋)

(記者A(押し役))腕で車椅子を前へ押しながら下に滑り落ちないように止めないといけないのでかなり強い力が要ります。体も前傾姿勢になっているので腰がすごい痛いんですよね。下りは後ろを見ながらなんで大変ですね。

(記者B(乗り役))怖いのは断然下りですね。落ちてるのか押してもらってるのかもわからないですし、後ろがまったく見えないので。

(ナレーション)車椅子を操作するのは体力だけでなく集中力も要します。実際に車椅子を利用する人に市が提案しているスロープ式歩道橋のイメージ図を見てもらいました。

(車椅子利用者A)これどないして上るの?これ上られへん。

(記者)スロープなんです。スロープの間に踊り場があって・・

(車椅子利用者A)踊り場があってもな、自分の力では上がられへんで。

(車椅子利用者B)できるだけ通らないようにしたいですね。自分らは。

(車椅子利用者C) えー。長いですね。60m長いです。

(ナレーション)車椅子利用者たちから出るのは市の計画に否定的な声ばかり。住民たちが希望するのは歩道橋へ上がるエレベーターの設置です。

(小川さん)あの道が無いとほんと閉ざされちゃうんです。子供たちのためにエレベーターをぜひぜひ作っていただいて外出の機会をなくさないようにしていただきたいんです。

(ナレーション)きのう小川さんたちは大阪市役所へ向かいました。

(小川さん)1000人以上も集まった署名です。よろしくお願いします。

(ナレーション)市民1000人以上の署名を添えた陳情書を市議会に提出しました。歩道橋へのエレベーターや屋根の設置を求める内容です。

大阪市担当者)大体1000万から3000万程度かかると試算しています。維持管理の費用や実際の管理体制も検討課題です。どういった形で課題をクリアできるのか、できないのか、現在検討させていただいているところです。

(ナレーション)市は今月中にも近隣住民や施設で働く人など7000人以上にアンケートを実施、その結果をふまえ今年度中には方針を固めたいとしています。

(VTR終了、スタジオトーク)

(司会)大阪の中津、僕も20年位まえ実は住んでたんですけども古きよき下町で昔からお住まいの方が多い。ということは今、高齢化していて、ですから高齢者の施設や身障者の施設が多いと。そこで開発するから道路なくなります。どこかの国の話みたい。

(コメンテーターA)まず設計する段階でこういうことは分かっている。だけど、もう決まっちゃってから説明するって言うのは、

(司会)5月の説明。再開発はもっと前から進んでます。

(コメンテーターA)そうですよね。それって多分ね決めちゃってから言ったほうがもう後戻りできない。そういう作戦だと思うんですよ。最初に言っちゃったら、決まってないうちに言っちゃったら絶対あんなもん通るわけない。これは本当に施設がそこにあるって分かってるわけですから冷たい政治だと思います。

(司会)住民の方がご希望されてるのはこういうことです。歩道橋に上がるエレベーターを作って欲しい。でもこれはコストがかかるから。1基1000万から3000万。梅田の再開発の費用からしたら安いものだと思うのは僕だけでしょうか。用地にも課題ですね。雨が降るとつるつるすべりますからスロープに屋根を。基本的に歩道橋のスロープに屋根はついていない。まあ杓子定規ですよ。

(コメンテーターB)まあちょっと驚きなんですけど。さっきの何兆円の話から急に1000万とか?

(司会)1000万から3000万が払えない?この国はなんなんでしょう。

(コメンテーターB)てことがよくわからない。あと私も自分が妊婦になって出産してようやく気づいたんですけどエレベーターもあるにはあるけど一人とか二人とかしか乗れない小さなエレベーターが飾り程度にしかついてないとこがあってエレベーターに乗るのに待ったりするんですよ。だから本当にちゃんとしたエレベーターをユーザー目線で作って欲しいと思います。

(司会)少子化高齢化していく中でもっとあたたかみのある街づくりがいま必要なんじゃないですか。

(コメンテーターC)大阪市が消極的なのは他に波及することを恐れているんですね。実は大阪市内に大阪市の費用でつけたエレベーターがついた歩道橋は1ヶ所しかない。天王寺の駅前にある阿倍野再開発でつけたんですね。であればここだってね大阪が鳴り物入りでやる、うめきた開発の影響なんだから特例として認めるべきだと思います。

(司会)立場の弱い人に優しくするというのが文明だと思うし豊かな国の・・(聞き取れず)・・だと思います。以上特集でした。